定年後も住宅ローンが残る。
これ、気になりますよね。
金利も少しずつ上がってきている。
家を買ったときに、
「残った住宅ローンは、退職金で返せば大丈夫ですよ」
と言われたような気もする。
でも、いざ退職金を受け取る時期が近づくと、
「本当に退職金に手をつけていいのかな」
「老後のために、現金を残しておいた方がいいのでは?」
と不安になる方も多いのではないでしょうか。
退職金で住宅ローンを返すかどうか。
これは、なかなか簡単に決められることではありません。
今回は、次のようなご家庭を例に考えてみます。
- 住宅ローン残高 1,000万円
- 変動金利 現在1.9%
- 70歳で返済終了予定
- 毎月の返済額 6万円
- ボーナス月は12万円を上乗せ
- 年間返済額 約96万円
- 退職金 1,800万円
このご家庭には、大きく分けて3つの選択肢があります。
選択肢1 退職金で一括返済する
一つ目は、退職金1,800万円のうち1,000万円を使って、住宅ローンを一括返済する方法です。
住宅ローンを完済すれば、毎月6万円とボーナス月の返済がなくなります。
年間約96万円の返済がなくなるため、年金生活に入ってからの家計は楽になります。
変動金利の場合、これから金利が上がるかもしれないという不安もなくなります。
何より、
「老後に住宅ローンを残さずに済んだ」
という安心感は大きいでしょう。
一方で、退職金は800万円まで減ります。
老後には、住宅ローン以外にもお金が必要です。
- 年金を受け取るまでの生活費
- 自宅の修繕やリフォーム
- 車の買い替え
- 病気や介護への備え
- 子どもや孫への援助
- 夫婦で楽しむ旅行や趣味
住宅ローンを返済したお金は、必要になっても簡単には取り戻せません。
「1,000万円を返せるか」ではなく、
返した後に残る800万円で、
これからの生活に対応できるかまで考えてみましょう。
一括返済した後は、返済していたお金を必ず貯める
退職金で住宅ローンを一括返済すると、毎月の返済がなくなります。
でも、この浮いた毎月の返済のお金
まさか、全部使っちゃわないよね?
これまで住宅ローンの返済に使っていたお金を、
そのまま生活費やおこづかいに使ってしまうと、
退職金は減ったのに、その後の貯蓄は増えないということになりかねません。
今回の例では、
- 毎月の返済額 6万円
- ボーナス月の上乗せ返済 12万円
- 年間返済額 約96万円
です。
一括返済後も、この年間96万円を
「住宅ローンがあったときと同じように、固定費」として扱いましょう。
一括返済したら、これ確実にやりましょう👇
- 毎月6万円をつもり貯金で自動積立にする
- ボーナス月の12万円も別口座へ移す
- 数年以内に使うお金は預貯金で貯める
- 当面使わないお金はNISAなどで積立運用する
年間96万円をそのまま貯めれば、
運用をしなくても5年間で480万円、10年間で960万円になります。
そして、運用もしながら増やしていく。
一括返済するときは必ず
浮いたお金を貯金すること!
選択肢2 住宅ローンをそのまま返し続ける
二つ目は、住宅ローンを一括返済せず、これまでどおり返し続ける方法です。
退職金1,800万円を手元に残しておけば、
病気になった時や自宅のリフォームなどにも使えます。
また、退職金を運用するというのもアリです。
住宅ローンの金利よりも
高い利回りで増やせたら、
手元に資金を残しておいた方が得かもしれません。
また、金利が上がった時に備えて
退職金を運用で増やしておいて
金利が上がったとき
一部を繰上げ返済するという方法もあります。
手元にお金があるっていうのは
何かと心強いですね。
選択肢3 一部だけ繰上返済する
一括返済するか、そのまま返し続けるか。
この二択で考えなくても大丈夫です。
例えば、退職金から500万円だけ繰上返済し、
残りの住宅ローンを返していく方法もあります。
一部繰上返済には、次の2つがあります。
- 返済期間を短くする「期間短縮型」
- 毎月の返済額を減らす「返済額軽減型」
定年後の家計を楽にしたい場合は、返済額軽減型が合うこともあります。
一部だけ返済することで、
- 毎月の負担を減らす
- 支払う利息を減らす
- 退職金を手元に残す
というバランスを取れます。
シミュレーションしてみる!
まずは金融機関に、全額返済と一部返済の両方について試算をお願いしてみましょう。
そして、
いろんなケースをシミュレーションしてみること!

これは、日本FP協会のホームページでダウンロードできる
ライフプラン表ですが
こんな感じのをエクセルで
一括返済したパターン
そのままのパターン
一部繰り上げ返済をしたときのパターン
こんなシミュレーションをしてみましょう!
団信も確認して!
もしも一括返済するとすれば
団信「団体信用生命保険」も確認してみましょう!
「団信」は、
ローンの契約者が亡くなった時や
高度障害状態になったときに
住宅ローンの返済が免除されます。
がん団信や三大疾病保障が付いていませんか?
さらに、住宅ローンによっては、
- がん団信
- 三大疾病保障
- 八大疾病保障
- 就業不能保障
などが付いている場合があります。
がんと診断されたときや、
脳卒中・急性心筋梗塞などで一定の状態になったときに、
住宅ローン残高の全部または一部が保険金で返済されるタイプのもあります。
中には、がんと診断されたら一時金が出るものも。
団信でがんの保障があるから
団信があるから保険は減らしていた
とかだったら、
住宅ローンを一括返済することで
団信の保障もなくなります。
住宅ローンを契約したのが何年も前だと、団信の内容を覚えていないこともあります。
金融機関に確認したり、契約時の書類を見直したりしてみましょう。
住宅ローンだけを見て決めない
退職金で住宅ローンを返すかどうかは、
「金利がもったいないから返す」
「運用した方が増えそうだから残す」
という理由だけでは決められません。
確認したいのは、次のことです。
- 一括返済後に退職金がいくら残るか
- 年金生活になっても返済を続けられるか
- 金利が上がっても家計が赤字にならないか
- 住宅修繕や医療・介護に使える現金があるか
- 団信にどのような保障が付いているか
- 団信を前提に生命保険を減らしていないか
- 夫婦がどの方法なら安心できるか
そのうえで、
- 全額を一括返済する
- 一部だけ繰上返済する
- 住宅ローンをそのまま返す
という3つのライフプラン表を比べます。
どの方法が正しいかは、ご家庭によって違います。
「返せるから返す」が正解とは限りません。
退職金が1,800万円あり、
住宅ローン残高が1,000万円なら、一括返済はできます。
でも、大切なのは、
返せるかどうかではなく、返した後も安心して生活できるか
退職金、住宅ローン、資産運用、生命保険。
それぞれを別々に考えるのではなく、
わが家のお金全体で考えるようにしましょう!
家計は全部つながっています。

